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モバイル・ソリューションの法人投資、クラウドサービスやタブレットが高まる。日経BPコンサルティングが実態調査2015を発表。

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株式会社日経BPコンサルティング(所在地:東京都港区、代表取締役社長:戸田 雅博)はこのほど、「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2015」の結果をまとめました(2014年12月19日に報告書を発行)ことを発表した。携帯電話の法人における利用実態と利用意向を探る本調査は、2005年に開始してから今回で10回目。
 

2015年のモバイル・ソリューションへの投資に関する重点投資分野の1位は「クラウドサービス」、次いで「タブレット端末」という結果になった(図1)。今後のモバイル端末の主流としては昨年と同じく「タブレット端末」が中心となっている(図2)。
通信事業者に対する満足度については、音声端末部門でKDDI(au)が1位、データ端末部門ではソフトバンクモバイルが1位となった(図3)。今回、ソフトバンクモバイルに対する満足度の向上が目立った。
また、企業が負担する1人当たりの音声端末の月額負担料金は6,523円で、昨年から約1,000円の大幅減少となり、新料金プランの影響が見られる結果となった。

■2015年のモバイル・ソリューションに対する投資No.1は「クラウドサービス」
次いで「タブレット端末」、新たに「ビッグデータ活用」への投資にも注目
モバイル・ソリューション関連で、2015年の投資が最も増えるのは「クラウドサービス」という結果になった。昨年調査で伸びが最も大きかった「タブレット端末」は今回も2番目であり、引き続き企業の投資意欲が高いテーマである。加えて、「スマートフォン」、「モバイル・セキュリティ」、「高速モバイルデータ通信対応」、「無線LAN」、「モバイルの業務アプリ連携」の5項目に対する投資意欲も高まっている。
また上位7項目とは差があるものの、今回新たに追加した「ビッグデータ活用」への投資も拡大傾向にある。「ビッグデータ活用」は2015年の投資意欲の前年比伸びが2014年の伸びより大きく、取り組みを強化すべきテーマと考えられている。

■企業のモバイルデータ通信端末の中心は「タブレット端末」

「ノートパソコン」も更に拡大
2015年も2014年に続いて、モバイルデータ通信端末の中心は「タブレット端末」である。「タブレット端末」を選択した企業は45.7%で、昨年の52.1%からは減少したが、引き続き高い比率を占めている。2015年も企業におけるタブレット端末の需要は高まってくると考えられる。
モバイルデータ通信端末の主流がスマートフォンと回答した企業は23.7%で、昨年の22.0%から1.7ポイント拡大。ノートパソコンが昨年の22.0%から5.7ポイント拡大して27.7%となった。Windowsアプリに対するニーズや、ノートパソコンの軽量化、ウルトラブックやタッチパネル搭載のタブレット端末にもなるタイプの登場により、利便性が増し利用意向が高まったと考えられる。

■モバイル通信事業者の満足度は音声端末でKDDI(au)がトップ

データ端末はソフトバンクモバイルが大幅向上で1位に
主契約の音声端末に対する総合満足度はKDDI(au)が1位だった。昨年、NTTドコモに1位の座を譲ったものの、今回1.4ポイントの差で首位を奪還した。項目別に満足度を見ると、1位は「法人割引サービス」のみであるが、全体的にバランスのよい評価を得ている。
総合満足度以外の各項目では、NTTドコモが11項目中6項目で1位を獲得した。NTTドコモが1位の項目は、「通話エリア(屋内外の2項目)」、「通話品質」、「法人営業担当者の対応」、「販売店・ショップ店員の対応」、「アフターサービス・サポート体制」の6つである。エリア/品質と法人営業担当を中心とした顧客対応での満足度は非常に高く、NTTドコモの強みは変わっていない。一方で、価格、料金面での満足度が他の通信事業者よりも低く、通話料金定額制などの効果が表われていない。
今回、音声端末の満足度が大きく改善されたのがソフトバンクモバイルである。総合満足度では、昨年から16.0ポイント上昇し、NTTドコモと並んだ。ソフトバンクモバイルは項目別に見ても総じてスコアが上がっており、特に「通話エリア(屋内外)」、「通話品質」は10ポイント以上上昇した。昨年に続き、エリア、通信品質などのネットワーク改善の取り組みが実を結んできたと思われる。
データ端末の総合満足度は、ソフトバンクモバイルが1位だった。前回調査から約10ポイント上昇。また個別の項目別評価においても、「月々の利用料金」、「法人割引サービス」、「法人向けサービス/ソリューション」、「端末(性能・機能等)」、「法人営業担当の対応」、「アフターサービス・サポート体制」の6項目で1位となった。これらのうち「アフターサービス・サポート体制」以外の5項目は、スコアが10ポイント以上高くなった。また「データ通信速度の速さ」も約10ポイント上昇し、165Mbpsの高速モバイルWi-Fiルーターの提供などが満足度向上に貢献した可能性が高い。

■音声端末の月額平均負担額は6,523円
新料金プランの影響からか前回から約1,000円の大幅減
業務で必要な携帯電話やPHSなどの音声端末に対して、企業が支払っている金額は、一人当たり月額平均6,523円だった。昨年の平均7,490円から、約1,000円の大幅な減少となった。いずれの通信事業者の利用企業も金額は減少しているが、特にNTTドコモが昨年の8,367円から6,818円へと、1,549円の大幅な減少となった。NTTドコモの減少が、全体平均の変化の最大要因である。同社が2014年4月から提供を開始した「カケホーダイ」、「ビジネスシェアパック」で利用料金が低下したと見られる。KDDI(au)とソフトバンクモバイルも、NTTドコモに追随し同様のサービスを提供したことで、全体平均が1,000円規模で下がった。

(藤澤 一郎=日経BPコンサルティング シニアコンサルタント)

■調査概要
「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2015」は、今回が10回目。企業へのアンケート調査とモバイル通信事業者4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ワイモバイル)へのヒアリング調査を実施。アンケート調査は、全上場企業と非上場の優良企業の合計5,000社の情報システム部門に調査票を郵送し、677社の情報システム部門、総務部門などから回答を得た(回収率:13.5%)。調査期間はアンケート調査が2014年11月4日~11月20日、ヒアリング調査が2014年11月25日~12月5日。携帯電話/PHSの法人利用の実態と、今後3年間の企業の導入計画、さらに経年での比較も含めた法人利用・ニーズの変化を分析した。音声通信とデータ通信の両面で調査している。

■調査報告書
日経BPコンサルティングは2014年12月19日に、調査結果をまとめた「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2015」報告書を発行した。通常版の報告書は約300ページで、業種や売上規模、従業員数別の全集計結果を収録したCD-ROM付き。価格は31万5,000円(税込)。ローデータ版も提供している。

 
© Nikkei BP Consulting, Inc.

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